映画のスタントマンであるロイ(リー・ベイス)は、大怪我で下半身がふじゅうになり入院、と同時に愛する女性を二枚目俳優に取られてしまい失望していた。そんな時、同じ病院に入院していた5歳の少女アレクサンドリア(カティンカ・ウンタール)と仲良くなり、彼女を利用して自殺するためのモルヒネを盗ませる策略するロイ。その方法はというと、即興で奇想天外な物語を語り少女を洗脳する方法だった。
まるで現代版「オズの魔法使い」。ロイが語るお話に登場する総督オウディアスによって孤島に追放された5人の勇者の姿はそれぞれロイとアレクサンドリアの周りにいる人々によって演じられる。なるほど、さすがベルリン国際映画祭でクリスタルベアー特別賞(青少年部門[Generation 14plus]最優秀長編映画賞) を受賞するだけのことはあるゎね(笑)。
CGを一切使わず、世界24カ国の美しくゴージャスな場所を撮影し、それらを大げさに映し出すのではなく、さりげなく、舞台のほんの一部分として使うだけ。さすが世界的なCMクリエータ、こだわりのあるアーティスティックな仕事ぶりには前作同様感動しまくりでした。これだけの映像美を作り出せる映画監督は、今、世界中でターセム・シン意外はいない、はず。だからこそ、この素晴らしすぎる映像美を、ごく普通のファンタジーとして観せてしまうことって、どうなんだろう。これだけのモノを子供が観て楽しめるレベルの脚本にしてしまうのはもったいない、でしょ。カルト性の強い脚本があってこそ彼が作り出すオーラ満載の映像が光るわけで。そうじゃなければ魅力は半減でしかない。
前作「ザ・セル」で虜になってしまったターセム・シンだけど、次の作品で又同じだったら、たぶんファンをやめてしまうかなぁ。
脚本:ダン・ギルロイ、ニコ・ソウルタナキス、ターセム・シン
出演:リー・ぺイス、カティンカ・アンタルー、ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、エミール・ホスティナ、ロビン・スミス、